令和2年3月

2020年3月12日

世末になれば人の智は浅く
佛教はふかくなることなり
報恩抄

この御書は、大聖人が55歳の時の身延山での著作で、死去した清澄の旧師・道善房に対する報恩感謝・追善回向のために撰述し、兄弟子であった浄顕・義浄の両名に送り、師の墓前で読誦せしめたものです。
この一文は本書の後半部分で、日本国における仏法の正系について、「世が末になると、人の智慧は浅くなり、仏教は深くなる」と述べられた一節です。

「世が末になるにつれて人の宗教的智慧は浅はかになるもので、そういう人々を救うためには教えがおのずから深くならなければならない。
例えば、軽い病なら凡薬で良いけれども重病には仙薬でなければならないし、弱い人には強い味方があることによって助けることができるようなものである」と末法における正しき仏法を強調されています。

本書撰述の直接の目的は、恩師・道善房への追善報恩でしたが、ここで大聖人は、伝教大師から始まる日本国における正しき仏法の正系を挙げて、正法である「法華経」流布を「真実の報恩」として実践してきたという自負の心情を明らかにされています。

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